今月の仏具は、「リン」のお話です。
リンは先月御紹介した「木魚」と同様、音の出る仏具、「梵音具」の一つです。
その役割は読経の始まりと終わりを知らせるためのもので、その音色は空間を清め、
邪気を鎮める、ともいわれています。
リンの種類も様々ありますが、その一番大きな違いは「音色」です。
音色はそれぞれのリンの大きさや形状の違い、さらに製法、
混ぜる成分の比率の違いでも音が変わってきます。
では、リンは何で作られているのでしょうか。
大半のリンの主原料は真鍮(しんちゅう)という銅と亜鉛の合金です。
それに混ぜる金属、比率などで音色が変わってきます。
ちなみに真鍮は黄銅とも言い、5円硬貨の素材としても使われています。
また、リンの音色で大切なのは鳴らした後の余韻です。「リーン」と鳴らした後の
余韻が長く続くか、きれいに消えていくかも大事なポイントです。
さらにリン棒そのものや、たたき方によっても音は変わります。
リンは縁を上からたたくと良い音が出ません。
外側を横から打ち鳴らすか、内側を軽く叩き上げると良い音が出るようです。
リンの静かで優しい音色は、御先祖様を供養するだけでなく、
自分の心も落ち着いていくように感じます。
すばらしい彫刻の入った高価なものもありますが、決して値段にとらわれることなく、
高い音のもの、低い音のものそれぞれの音色を聞き比べてお好きなリン、音色をお探し下さい。