お墓で戒名や法名を刻む板を墓誌と申しまして、
今回は墓誌についての一席にお付き合いいただきたいとおもいます。
お墓のご契約をいただきますと、最初にさせていただくのが
彫刻の打ち合わせでして、その内容は、棹石の正面字(・・家、・・家之墓等)や
建年号(平成・・年・・月建立等)、家紋彫刻そして墓誌板彫刻などです。
墓誌彫刻の際、必ずお客様にお伺いしているのがお戒名を彫る順番です。
『戒名の順番なんて亡くなった順だっぺよ』
「私もこの仕事につくまではそう思ってました。
でもこの地域の墓誌を見て回ると、家族構成順に彫刻することのほうが
多いみたいですよ。」
『なんだいその家族構成順っちゃぁ』
「おじいちゃん夫婦の後におとうさん夫婦、
そしてそのあとの世代と続いて彫っていきます」
『でもまだおばあちゃんが存命の場合はどうしたもんだい。』
「おばあちゃんの分のスペースを空けて彫刻いたします。
その際、おばあちゃんの許可を頂いてください。
誰でも墓誌に〝自分の分だ″って空けておかれたら
良い気持ちじゃありませんから。」
家族構成順に彫刻していくのには勿論理由があって、
御影石に彫刻したものはこの後何百年も残っていくもの。
亡くなった順に彫刻した場合、何代も前のご先祖様のことだと
誰が誰だか解らなくなることがあるようなんです。
墓誌はいわば「わが家の歴史」を刻むものなんですね。