先日スーパーにて買い物をしている最中に『げんこつせんべい』らしき商品を目にしました。
そしてその刹那昭和50年代の記憶がふつふつと蘇ってきたのでした。
まだ小学生だった私と明治生まれのばぁさんがこたつに入っていた時の記憶です。
「そこんトコにせんべいがあるからとってくんないかい」
『そこってドコよ?』
「そこって言えば分りそうなモンだろ。お前の背中の茶ダンスの中にある煎餅だよ」
『ああ、これね。ってかこれげんこつせんべいジャン。ばぁさんこんなの食べらるの?』
「喰えるも喰えないもあたしゃ、深川のげんこつせんべいは大好物だよ。」
『そうなの?はいよ。そのかわり俺ももらうゾ』
「好きなだけ食べな」
というと、うれしそうにばぁさんはひとつ頬張りました。
好きなだけ食べて良いという御触れが出たのでバリバリ堅っっったいせんべいを5個は一気に
たいらげたでしょうか。ふッと袋に目をやるとたいして煎餅が減ってないことに気付いたのです。
『なんだよばぁさん。大好物って言っておきながら全然食べないジャン。
俺はもう6個目も終わるようだよ。なんだって俺ばっかり喰ってんジャン。
さすがに気が引けてきたゾ』
と思いながらばぁさんに目をやると
『ん?よくよく見てみるとげんこつせんべいを口の中で転がしてやがるゾ。。』
と思いばぁさんに尋ねてみました
『ばぁさんは何個食べた?』
「1個」
『え゛ッ!まだ1個しか食べてないの?』
「そうだよ」
『いや【そうだよ】じゃなくて1個をどんだけ喰ってんだよ!そんなに口の中に入れてたら
溶けてなくなっちゃうだろよ』
「何言ってんだい。バカだねぇ。この煎餅は日本一堅いんだよ。そう簡単に溶けやしないんだよ。
しっかしお前が羨ましいわ。さっきからバリバリ食べて。好きなだけ食べていいよ。ほれッ」
そう言ってまた1個よこしてくれました。
『歯が痛くて喰えないならこんな堅い煎餅わざわざ食べる必要あるの?堅いのがこの煎餅の
醍醐味であって、製造している人達も口の中で永遠に舐められてるとは思ってないよ。。
うちのばぁさんは変わってるねぇ』
と思っていた昭和50年代でしたが
最近ばぁさんの気持ちがわかってきた令和の今日この頃なのです。
私も昔から煎餅類が好きで、好んで食べていたのが{堅あげポテトうすしお味}だったのですが
堅あげが堅いのです(汗)堅くて奥歯が痛くなるし、挙句の果てには歯ぐきに刺さりやがるのです。
チョットだけふやかして食べていたりするのです。
ここ最近はすでに{堅あげポテトうすしお味}を断念している自分がいるのです。
40年以上の時を経てばぁさんの因果が孫である私にふりかかってきたのであります。
そんなばぁさんは亡くなるまで自分の歯で食べていました。
今でいうトコの80-28でした。80歳で28本歯があったのです。
その部分はばぁさんに似たいなぁ。
という、歯が痛い話でした。